市川のセカンドハウス

所在地:東京都市川市
用途:住宅/改修
規模:木造 地上2階 + 木造地上1階
延床面積:約200㎡
設計:湯浅亮、杉山花梨/湯浅杉山建築計画
構造:村上翔/SCALA Design Engineers
施工:菱匠
竣工:2024.06

本計画は、場所や規模の条件に合う建物を見つけて再編し利用するというプロセスで、かつてとある画家が暮らしていた2棟の建物を、骨格だけでなく部分取り壊し時に出た資材、建具などの建築パーツ、周りの植栽、絵画や家具等を積極的に活用しながら構成しました。

日常的にアートを楽しむことができる場所にしたいという家主の思いから、居住空間に作品展示や楽器の演奏ができるスペースをちりばめ、日々の暮らしの中でより気軽にアートに触れることができる場所を目指して計画しました。 

2階建ての「OMOYA」、平屋の「HANARE」の2棟で構成されており、奥へ行くにつれてプライベート性の高い空間を配置しています。 床の高さが異なる2棟の関係性を活かし、窓辺では緑を介して一体的に繋がりつつも、奥の部屋は視線から守られるよう配慮しています。 

「OMOYA」には、ダイニングやリビングなどの生活空間の他に、作品の展示・鑑賞に適した部屋や、防音性能に配慮した部屋を計画しています。 東面には作品を飾ることができる白い壁面を各部屋を横断する形で動線と絡めて計画することで、アートを生活の中に溶け込ませるよう試みました。

「HANARE」には、既存の植栽との関係性を重視して2面に大きな開口を有したインナーバルコニーを計画しました。あえて掃出し窓にはせず、窓枠に腰掛けられるようにして窓際を居場所にすることで、屋内外の心理的な境界を無くしてより自然を楽しむことができるようにしました。インナーテラスは玄関も兼ねているため気軽に立ち寄ることができ、立体物や吊り物を飾ることも想定しています。また、個室や水場と隣接しており、仕事合間の休憩や趣味のガーデニングにも活用できるようにしています。


本計画では、改修に当たり、建物の骨格だけでなく部分取り壊し時に出た資材、建具などの建築パーツ、周りの植栽、絵画や家具、新しく調達したものから出た端材など、「その場所にあるもの」を積極的に活用し、アップデートしながら再編することを試みました。インナーテラスの北壁面は、既存建物に使用されていたラワン羽目板をかき集め製材して再配置しています。巡り合わせた状況でしかできないことを大切にし、今後も余った資材のストックを活用しながらアップデートを重ねていくことを目指しています。  

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